終の住処はどのようにして選びますか?
私の祖父母は高齢になっても、手すりをつけたり自宅のリフォームを行った上でのんびりと2人で暮らしていました。
認知症が進み始めたころ、介護付き有料老人ホームに入所しましたが、体が元気なうちはカラオケなどのレクリエーションを楽しんでいたようです。
95歳の祖母は要介護度が5になった今も手厚いサポートの下、元気に暮らしています。
私は今回、自分が老後どんな場所で暮らしたいか考えるために、様々な高齢者施設の特徴や、自宅で長く暮らせる条件をまとめてみました。
長寿の祖父母は、長いシニアライフを段階に応じた楽しみ方をしていたのだと気づき、羨ましくも感じてしまいましたよ!
目次
終の住処とは
人生の最期まで生活する場所のことを終の住処と言います。
どこで最期を迎えたいか考え始めるタイミングは、まだ気力体力がある、定年を迎えたころが良いでしょう。
高齢者の住まいの選択肢は様々ですが、まずは高齢者施設または、自宅の二択で選ぶことになります。
施設入居検討の条件は?
施設入居を選ぶ方は子どもに心配をかけたくない、食事の用意や洗濯などの家事を負担に感じるという方が多いです。
また、第一生命経済研究所が50~79歳の男女に行ったアンケート調査によると、「日常の生活で介護が必要になった時には施設で介護を受けたい」と考えている人が52.8%と、自宅を選んだ人数を上回りました。
一言に高齢者施設といっても、形態はさまざまですよ。
施設を検討するときに大切な条件は次の2つです。この後に各施設の紹介もしていきます。
介護の有無
施設に入居したいと考えるときには、どれくらいの介護が必要かどうかを軸に考えると良いでしょう。
介護や支援が必要ならばどんなサポートが必要でしょうか?
理想のシニアライフが送れるかどうか
現在介護が必要ない状態ならどんな暮らし方をしたいですか?
自由な生活、様々な楽しみ方がある場所、他社との交流を持てる場所どれに魅力を感じますか?
施設入居+介護サービスが必要な場合
介護がすでに必要な方が選ぶのは、主に以下の2種類の施設です。
特別養護老人ホームは人気があるので、多くの人にとって入居が現実的なのは介護付き有料老人ホームになるでしょう。
特別養護老人ホーム
原則要介護3以上で、常時の介護を必要としていて自宅において介護を受けるのが難しい人が対象。
介護度などによって金額は変わりますが、公的な施設なので費用は安く、月々の負担額は10万円前後からです。
料金も手ごろなことから人気があり、入所が叶うまでは時間がかかります。
介護付き有料老人ホーム
介護サービスを目的とした施設なので、要介護状態の方は、食事や入浴、排せつの介助など手厚いサポートが受けられます。
また要介護者専門の介護専門型と、自立・要介護者まで幅広く受け入れている混合型があるので、入居時の状態に合わせて施設を検討することができます。
入居一時金は0~数千万円、月の負担額は15~40万円と施設によって幅があります。
施設入居+介護サービスが不要な場合
自立して暮らせる人でも、1人で自宅で済むのは万一の場合に心配、家事が面倒などの理由で、施設入居を検討する方もいますよね。
老後を楽しむための施設が充実している、入居者同士の交流が盛んなど施設によって特色があります。
住宅型有料老人ホーム
介護サービスを施設常駐のスタッフから受けることはできないため、介護の必要ない方、介護度の低い方の入居者の割合が高いです。
介護が必要な場合は、訪問介護など外部のサポートを受けることになります。
イベントやレクリエーションが充実していて、他の入居者との交流を楽しむこともできます。
敷金が家賃の2~5か月分、月の負担は10~30万円ですが、外部の介護サービス費を別途負担する必要があるので割高になることがあります。
サービス付き高齢者向け住宅
主に介護を必要としない高齢者が暮らすバリアフリー構造の賃貸住宅です。
入浴時間の決まり等も少なく、外出や外泊も可能な、自由度の高い生活が続けられます。
介護が必要になった際には、外部の介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)を利用できますが、寝たきりや認知症の進行など、重度のケアが必要になった際は退去を求められる可能性があります。
敷金が家賃の2~5か月分、月の負担額は10万~30万円と施設によって幅があります。
健康型有料老人ホーム
自立した健康な高齢者のための住まいで、施設スタッフによる見守りや緊急時の対応があるので、安心して暮らすことができます。
食事・掃除・洗濯などのサービスが提供され、露天風呂や図書館、シアタールームなどの設備が充実しているので楽しいシニアライフを送れます。
多くの施設では、重度の要介護状態や日常的な医療サポートが必要になると退去しなくてはなりません。
入居一時金は0~数千万円、月の負担額は10~40万円です。
自宅を終の住処にする場合の条件とは
平成25年の内閣府高齢社会白書によると、9割の高齢者は現在の住居に満足していて、自宅を終の住処にしたいと考えています。
高齢になっても住み続けられる家には、どのような条件があるでしょうか。
大事な条件を3つ挙げてみます。その後で、条件を満たすためのポイントをまとめていきます。
重視すべき条件
- 安全な設備
- 利便性のいい立地
- 交友関係の構築・継続ができる
安全な設備
高齢社会白書によると、5人に1人は自宅が老朽化して傷んでいる、使いづらい設備・構造であると感じています。
また、高齢者に多い家庭内事故は半数近くが居室で起きていることからも、体が弱っても安全に暮らせる環境を整えることが大事な条件であると言えます。
理想的な高齢者の住宅
- 段差や階段のないバリアフリーであること
- 廊下やトイレ、お風呂等に手すりが付いていること
- 車いす生活にも対応できる引き戸であること
- 空調が効きやすいこと(ヒートショックのリスクが少ない)
- コンパクトな導線が作れる広すぎない空間であること
全てを叶えるのは難しくても、リフォームや引っ越しで近い環境にすることはできますね。
利便性のいい立地
今は不便がなくても、足腰が弱ってくるとより便利な環境が求められます。
これから引越も視野に入れて終の住処を選ぶ方は、利便性の良い場所を探してみてください。
まずは最寄り駅やバス停までの距離が近いと理想的です。
また、徒歩10分以内を目安に日頃の生活に必要なスーパーや銀行、市役所などが揃っていると安心です。
交友関係の構築・継続ができる
終の住処を選ぶ条件として、楽しい老後を送るためには他社との交流も大切になるでしょう。
引越を検討する方は、これまで参加してきたコミュニティに居続けられる距離にあるかどうかも重要視すべきです。
1人でも毎日楽しく過ごせるという方も、気晴らしに老人会などで新しい交友関係を作るのもおすすめですよ。
グラウンドゴルフや趣味のサークル活動は、介護予防や健康を維持することにつながります。
自宅や、引っ越しを検討している先の町内会・自治会または、市区町村の役所に問い合わせてみてください。
まとめ
終の住処を選ぶ条件は、まず施設に入居したいか自宅で暮らしたいかで変わってきます。
高齢者施設を終の住処にする場合の条件
- 必要としている介護が受けられるか
- 自分の理想のシニアライフを送れること
自宅を終の住処にする場合の条件
- 安全な設備であること
- 利便性のいい立地
- 交友関係の構築・継続ができること
いずれにしても、長い目で見て安心して暮らせることが大事なポイントです。
施設を選ぶのも、自宅をリフォームまたは引っ越すのも元気なうちでないと難しくなります。
自分の思い描く楽しい老後を送れるよう、早めに準備・検討を始められると良いですね。