こんにちは。ちはるです。 私は長年介護施設や訪問介護など仕事を通して、様々な家族を見てきました。 在宅で姑を介護する嫁。高齢の母親の介護をする独身の息子。認知症の旦那を一人で介護する妻。 家庭には、それぞれ事情があります。 しかし、在宅で介護をしている人たちを見ると、皆悩みを抱えており、日々の生活に疲れ切っています。 「介護する側と介護される側の本当の幸せとは?」と考えた時にお互いの心身が健康で、より充実した生活ができる必要があります。 もちろん自宅で最期を迎えることが本人にとって理想です。 でも介護する側と介護される側お互いの幸せを掴むために、介護施設に入所することも選択肢の一つです。 施設を利用したいと思ってもすぐには入所できない現状があります。 そのために事前の準備(情報収集)が大切です。 まずは住んでいる近くの施設の詳しい情報を調べてみましょう! \ ま ず は 気 軽 に 資 料 請 求 し て み ま し ょ う ! /
身近な人の死というのは多くの方が一度は体験される辛い経験で、徐々に弱っていく家族に胸を痛めた方もいるでしょう。
特に終末期と呼ばれる「死が間近に迫った時期」というのは、本人にも家族にも多くの変化と困難が訪れる時期です。
死にゆく人とそれを見守る人、誰もが穏やかに最期を迎えられることが理想ですが、現実的には突然の出来事に動揺してしまうことが多いでしょう。
私の知人の父は、具合が悪かったため病院で診てもらったところ、余命3か月と診断を受けたそうです。
そこからはどんどん具合が悪くなっていく父と、看取るために急いで自宅の準備をする知人家族で、非常に大変だったようです。
知人は「事前に終末期の家族への対応がわかっていればもう少しゆっくりと家族の時間を過ごせたのに」と後悔していました。
ある日突然家族が終末期で余命の宣告を受けたとしても、どこに相談するべきか、自宅で看取るうえでどんな準備をするのかなどを知っておけば、本人も家族も後悔のない最期を迎えられるはずです。
本記事は次のような方に読んでいただきたいです。
- 家族が余命宣告された方
- 最期を自宅で迎えるべきか迷っている方
- 現在自宅で看取りを行っている方
今回は終末期患者を巡る現状と自宅で看取るための準備、メリット・デメリットなどを解説していきます。
目次
終末期の患者を持つ家族の現状
患者・家族の終末期の悩み
はじめに知っておきたいのは家族の余命が宣告され、終末期とわかった時に家族にはどのような悩みがあるのかということです。
多くの方がどんなことで悩んでいるのか知ることで、終末期の看取りに向けたイメージと必要な準備が何かわかってくるはずです。
患者・家族の悩みとして多いものは次のものです。
- 終末期には本人がどんな風になっているのかわからない
- 本人の痛みや家族の負担はどのくらいなのか
- 身辺整理は本人にも聞いても良いのか
- 本人がヤケになってしまわないかと思うと恐ろしい
- どんな介護をすれば良いのか教えてほしい
このようなお悩みを持つ本人・家族の方が多いのです。
死というのは誰もが迎えるものですが現実のものとして認識するには、身近に迫らなければ実感はなかなか難しいからでしょう。
現実的に身近に感じられない死という存在、国も在宅医療を推進していますが、終末期を取り巻く現状はまだまだ難しいのです。
高齢者の希望と現状の違い
2015年、国は介護保険法を改正し、在宅医療と介護の連携を推進するという方針を打ち立てました。
その背景には2012年の内閣府が行った意識調査で、75歳以上の方の約6割が「自宅で最期を迎えたい」と答えたことから始まります。
意識調査の結果に反するように、2015年の厚生労働省の調査によると「終末期の方の8割が病院で最期を迎える」という結果になったのです。
その結果、介護保険法を改正し、医療費の増大を抑制するためにも在宅医療へ重点を置くようにシフトしていいきました。
在宅医療も保険診療の対象になりましたし、在宅医療を支える訪問看護ステーションも平成24年から5年間で1.4倍にも増加しました。
(厚生労働省HPより)
しかし、まだまだ地域によっては在宅医療が不十分なところもあり、在宅での看取りは大きく増加していないのが現状なのです。
家族を自宅で看取るためには
終末期の看取りに必要な3つの条件
自宅での看取りは多くの高齢者が望んでいることは先ほど述べたとおりですが、実際に自宅で最期を迎えるために必要なのはなんでしょうか。
まず自宅で最期を迎えるには次の3つの条件が必要です。
- 本人が自宅で最期を迎える意思
- 家族が本人を最後まで看取る意思
- 医学的な判断
この3つがなければ自宅での看取りはうまくいかないと言われています。
本人の意思と家族の意向
これはそのままの意味で、死を間近にした本人がどこで最期を迎えたいかという意思決定です。
本人が「自宅で最期を迎えたい」という気持ちを持っていても、同時に「家族の負担になりたくない」というジレンマを抱えていることもあるので、家族も交えた意思決定が必要でしょう。
本人と家族間で意思の共有が必要ですから、本人の意思決定と家族の意向は合わせておくべきでしょう。
終末期の在宅介護・医療は家族の協力が必要不可欠なので、最も重要な条件となります。
終末期の医療と介護は基本的に24時間体制でのサポートが必要なので、家族による介護時間が必然的に増えていくからです。
辛い決断にはなるでしょうが、本人と家族とでどこで最期を迎えるのかは必ず相談しておくべきでしょう。
終末期を自宅で迎えられるという医学的判断
終末期になると人には多くの変化が訪れます。
精神的な変化、死生観の変化、食べられなくなる、歩けなくなるなど徐々に体調は悪くなり、回復することはありません。
徐々に悪くなっていく体調に対応できるだけの介護力や医療資源があるか、医学的な見地から問題ないと判断がされなければ難しいでしょう。
たとえば自由に歩けない状態の本人に階段や段差のある家は難しいですし、近くに往診医がいない状況も自宅へ帰る妨げになります。
このような医学的にも自宅に十分な体制が確保できておらず、看取るのが難しい状況では医学的にも自宅は不可という判断になるのです。
在宅で看取ることのメリット・デメリット
在宅のメリット
在宅での終末期の看取りにはメリットデメリット双方があります。
まずメリットからみていきましょう。
- 家族と水入らずで過ごす時間ができる
- 本人にとって精神的・肉体的な負担が少ない
- 費用が病院に比べて安い
- 家族が常に様子を見ることができて安心する
病院では面会時間を限っている病院もあるため、家族で過ごす時間は限られてしまいます。
その点、在宅では家族との時間を十分取れることと、慣れた環境で本人も過ごせるため精神的・肉体的な負担が少なくなります。
病院の場合、急変で連絡が急に来ないか不安になることもあるでしょうが、自宅ではいつでも様子を見られるためその点の心配も少ないでしょう。
また入院と治療費用を考慮すると自宅の方が安くなる傾向にあります。
高額医療費申請をしておけば上限額以上の費用は請求されませんが、自宅での療養の場合は上限以下に収まることもあるのです。
在宅のデメリット
次に在宅のデメリットをみていきましょう。
- 常にケアを行える状態にする必要がある
- 家族のライフスタイルを本人に合わせる必要がある
- 家族は体力面で、本人は精神面で負担を感じることがある
- 急変時の対応が難しい
本人をケアするのは主に家族になるため、家族に関するデメリットが多くなっています。
そしてケアの対象となる本人に合わせて家族のライフスタイルを変化させる必要もあるので、その点も家族にとってのデメリットと言えるでしょう。
本人にとってのデメリットは、家族への負担が精神的な負担になり得ることです。
家族との意思共有はこの点で非常に重要になります。
また在宅で療養する以上、体調変化が起こった場合に往診医や訪問看護へ依頼しても、すぐに対応することが難しいというデメリットも知っておく必要があるでしょう。
急変時にどこに連絡すれば早急に対応してくれるのか、いつ体調に変化が訪れても対応できるように準備しておきましょう。
終末期の看取りに向けた準備
終末期医療の開始時期と全人的なケア
実のところ、終末期医療の開始時期には明確な目安はありません。
一般的に終末期医療が必要な目安は、病気が進行して回復が望めない時や積極的な治療法が存在しない時、老衰や認知症の進行で寝たきり・食事摂取ができなくなった時とされています。
このような状態になった時、医師から終末期として余生をどう過ごしていくのかという決断を迫られるのです。
しかし終末期医療と一言で表しても、色々な側面からのケアが必要です。
医療現場で言われている終末期医療は「全人的ケア」が必要と言われます。
全人的ケアと言われても聞き馴染みのない言葉でしょうが、どのようなものかというと
- 身体的ケア・・・疼痛緩和や点滴、経管栄養など身体に関するケアで、主に医療面に関わるケア
- 精神的ケア・・・終末期患者の精神面に関するケアで、病気の受け入れなどの過程をサポートするケア
- 社会的ケア・・・医療費等の金銭面や遺品整理の仕方などの社会との繋がりに関するケア
- 霊的ケア・・・人生の意味や死生観など、「その人らしい人生」を支えるケア
終末期を迎える人にはこのような観点からのケアが必要ということになります。
家族が在宅で看取りを行うには、この中でも身体的ケア・精神的ケア・社会的ケアへの準備が必要です。
在宅看取りの段取り
本人が終末期と診断されてから、家族はどう対応すればよいのか手順と医療体制に何が必要かをみていきます。
- 地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談する
- 在宅医療や看取りに対応できる在宅医やケアマネージャーの紹介を受ける
- 看取りのチームを編成する
- 自宅の改修や介護用の物品を準備する
地域包括支援センターや市区町村で窓口
終末期を在宅で看取るには自宅まで来てくれる往診医やケアマネージャーによるケアプランの作成が必須です。
往診医やケアマネージャーは地域包括支援センターや市区町村の窓口で紹介を受けることができます。
市区町村に相談する場合は、在宅医療相談室や在宅医療介護連携室といった名称の窓口で相談できるでしょう。
自宅での看取りをすると決めたら、まずはこの2つに相談することがおすすめです。
地域包括支援センターは所在地域の医療や福祉サービスと連携を取っているので、適切な医師やケアマネージャーを紹介してくれます。
市区町村の窓口でも、担当職員が対応可能な専門職者を紹介してくれます。
看取りに対応できる往診医とケアマネージャー
かかりつけ医がいる場合は、往診が可能か、可能なら看取り対応を行ってくれるか相談しましょう。
かかりつけ医がいないまたは往診をしていない場合は、地域包括支援センターや市区町村の窓口、ケアマネージャーに相談し、往診医の紹介を受けましょう。
自宅での看取りは医師が決まらなければ訪問看護などの医療体制も整わないので、まずは往診医を決定することから始めることをおすすめします。
ケアマネージャーは往診医の紹介や看取りに対応できる訪問看護やヘルパーの紹介もしてくれます。
ケアマネージャーは本人の状態に合わせたケアプランを作成してくれますので、医療チームの編成には相談は必須です。
看取りチームの編成
終末期医療、そして看取りをするには本人、家族だけでなく医師、訪問看護師、歯科医師や歯科衛生士、介護福祉士、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士などでチームを組んで1人1人の対応にあたっていきます。
介護保険法の改正により、在宅の医療サービスも医療保険適用の対象になったため、これまでは関わることのなかった多職種での対応が可能になってきています。
歯科医師や衛生士は食事が摂れない状況になっても、口内環境の維持に貢献してくれます。
また抗がん剤治療をしていた場合は、口内環境の悪化により顎骨壊死というあごの骨に穴が空いてしまう問題もあるため、定期的に見てもらう必要があるのです。
理学療法士は活動性の低下に対するリハビリ、管理栄養士は栄養状態のチェックなど、多職種によるチームで終末期患者に医療提供することで看取りを支えることができます。
ケアマネージャーに医療チームの編成についても相談してみましょう。
医療チームの編成は、前述の急変時の対応が難しいというデメリットを解消するうえで必須になります。
救急車を依頼して病院に行っても、状況がわからないために余計な労力と時間を奪われることになってしまいます。
そのため、急変時にまず誰に連絡するのか、誰が往診に対応してくれるのかを決定しておくためにも大事なことです。
また往診医に連絡がつかないときはどうすればよいのか、ということも大事な事項です。
医療チーム編成ではもしもの事態に備えて、細かい連絡先をアドバイスも受けて一つ一つ不安材料を解消しましょう。
自宅の改修や介護用品の準備
終末期には徐々に体力の衰えや体調の悪化が現れ、わずかな段差やトイレへの歩行でも息切れが生じやすくなります。
本人が自宅で安心して過ごすためには、可能ならバリアフリー化、介護用のベッドや手すりの設置は必要になります。
医師から「がん」と診断を受けた場合、介護保険の適用も受けられるため、要介護認定の申請もでき、必要な費用については介護保険でまかなうことも可能です。
終末期の診断を受けたら、早期に要介護の申請を行うことで本人、家族がスムーズに看取りへと移行できるでしょう。
まとめ
自宅で終末期の家族を看取るには家族の介護力も必要ですが、早期に医療チームを編成することも大切です。
最も大事なのは本人と家族が「最期は家で迎えたい」という共通した意思を持つことなので、まずは家族間での話し合いを大事にしましょう。
そのうえで、方針が決まったら包括支援センターや市区町村の窓口で体制を整える準備をすることです。
本人が穏やかに最期を迎えられるように、準備し、体制を整えることで本人・家族とも満足のいく看取りとすることができるでしょう。