親の自立度が低下した事によって、トイレで排泄を行うのが難しくなり、やむなくオムツをしなければいけなくなったという人もいるのではないでしょうか?
そうなってしまうと、毎日のオムツ替えは同居している家族が行わなければならず、それだけでも大きな負担と感じる人は多いはずです。
今までオムツ替えをした事がない人からすると、他人の排泄物を見るだけでも強い嫌悪感を抱いてしまうというのも珍しくありません。
また、オムツ替えに慣れていない人が初めてオムツ替えを行った場合、上手くできなくて難しいと挫折してしまう方も多くいます。
しかし、そのような場合でも、訪問介護を利用したり、ケアマネジャーに相談してみる事でそうした悩みや不安が解消される事でしょう。
今回は、そんな親のオムツ替えができない人がオムツ替えの負担を減らせる対策3選について、紹介していきます。
こんな人に読んで欲しい
- 自宅で親のオムツ替えをしなくてはいけなくなったが、排泄物の処理に抵抗感がある人
- 自宅で親のオムツ替えをしなくてはいけなくなったが、オムツ替えの上手なやり方が分からない人
目次
親のオムツ替えができない理由
まず、親のオムツ替えができない理由について、お話していきましょう。
具体的には、
- 排泄物に対する嫌悪感
- オムツを適切に当てる事が難しい
- 精神的な辛さ
の3つだと考えられます。
以下に、それらについて、詳しく解説していきます。
排泄物に対する嫌悪感
親のオムツ替えが大変だと感じる理由の一つとして、排泄物に対する嫌悪感が挙げられます。
排泄物に対して、汚らしいと考えてしまうのは至極当然の事であり、それが自分以外の他人のものなら尚更です。
私も介護士になりたての頃は、オムツ替えに対する嫌悪感が強いあまり憂鬱に感じる日々が多いという事がありました。
このように、介護士であってもそのように感じてしまう人は、以外に少なくありません。
排泄介助を行う際は手袋を着用して行いますが、それでも汚物に触れるのは嫌悪感がありますし、臭いがキツイと感じてしまう事もよくあります。
これは、女性よりも男性の方が、このように考えてしまう傾向が強いようです。
私が以前いた施設でも、介護未経験の男性の職員が何人か入所してきましたが、その全員がオムツ替えに対してかなり苦手意識を持っている様子でしたね。
女性でももちろん嫌悪感はあるのでしょうが、女性は男性に比べて献身的な気持ちを持っている人が多い為なのか、女性の職員は自ら進んでオムツ替えをやっている印象があります。
あなたの家庭でも、夫婦で一緒に親のオムツ替えをやろうと話し合っている人もいるでしょう。
それにも関わらず、気が付けば親のオムツを替えているのはいつも自分ばかりで、旦那は何かと理由を付けて手伝ってくれないなんて話はよく聞きます。
親としては、オムツの中でいつまでも排泄物が溜まった状態というのは、気持ちが悪いですし、最悪、尿路感染症などの病気になってしまう危険性が出てくるでしょう。
しかし、親によっては、世話をしてくれる家族に気を遣ってしまい、自分の排泄に気付いていたとしても、申し訳なくて中々言い出せない人も中にはいるようです。
オムツを適切に当てる事が難しい
また、オムツ替えに慣れていない人がオムツ替えを行った場合、上手くできず無駄に時間が掛かってしまうという話はよくあるでしょう。
オムツというのは、介護者の鼠径部にしっかり当てていないと隙間から排泄物が漏れてしまい、結果として衣服やベッドまで汚してしまうなんて事になりかねません。
尿量や軟便が多い人だと、なおさらその心配があります。
その為、介護者によっては、夜中であっても定期的にオムツ替えをしてあげないと、オムツの限度量を超えて衣服まで排泄物で汚れてしまう恐れがあるでしょう。
私も昔は、一人の利用者のオムツ替えをするだけでも、10分以上掛かってしまったなんて事もざらにありました。
気を付けてほしいのが、オムツ替えをまだ慣れていない人がそれを行った場合、オムツをしっかり当てようとして、利用者の身体を無理に引っ張り過ぎてしまう傾向があるようです。
利用者の身体を無理に引っ張り過ぎてしまうと、相手に「痛い」などの不快な思いをさせてしまう事があります。
オムツ替えを行うにおいて重要になってくるのは、「相手の立場になって行動する」という点です。
人間を相手に行っている以上、親の身体を無理に動かそうとすれば、相手は当然痛みを伴いますし、場合によっては、すり傷などができてしまう事もあります。
私も最初は、利用者の身体を無理に動かそうとしていたあまり、先輩から「利用者はモノじゃないんだから、そこら辺もっとよく考えて!」と上司から怒られてばかりでしたね。
精神的な辛さ
精神的な辛さという点も、親のオムツ替えが大変だと感じる理由の一つでしょう。
親がオムツ替えをしなければいけないほど衰弱している様子を見るのは、家族として見るに耐えないものがあると思います。
「後悔先に立たず」ということわざもあるように、人というのはいつも後になってから後悔してしまいがちです。
衰弱している親を見て、「あの時、私があのようにしてれば」という風に自分を責めてしまう人もいるでしょう。
オムツ替えをしている最中に、親が「いつも、迷惑ばかりかけてゴメンね」という風な発言をすると、介護している側としても複雑な心境になってしまうようです。
これは、責任感の強い人ほど、こうした感情を抱きやすいと言えるでしょう。
私の知人も以前、同じような状況になった事がありました。
その知人は、いつも自分を追い詰めてばかりいてストレスが溜まれば、やけ食いをしてしまうなんて事がよくあったのです。
このような事から、オムツ替えをやった事がない人がこれからオムツ替えをしようと思っても、排泄物への嫌悪感やオムツを適切に当てる事の難しさなどから、できないと感じてしまう人が多くいると思います。
それでは、一体どうすればそのような負担を減らせるのでしょうか?
親のオムツ替えの負担を減らせる対策3選
親のオムツ替えができない理由について理解が深まったら、次は親のオムツ替えの負担を減らせる対策3選について見ていきましょう。
具体的には、
- 訪問介護を利用する
- 介護用の消臭スプレーを利用する
- ケアマネジャーに相談してみる
の3点があります。
以下に、それらについて、解説していきましょう。
訪問介護を利用する
訪問介護を利用する事で、専門のスタッフが自分の代わりに、親のオムツ替えをしてもらう事ができます。
訪問介護とは、ホームヘルパーのスタッフが自宅まで訪問して、家族の代わりに親の身の回りのお世話をしてくれるというサービスの事です。
これならば、親のオムツ替えができないという人でも、ホームヘルパーがその分代わりにやってくれるので、自分の負担を大幅に減らす事ができます。
「訪問介護を定期的に利用するとなると、毎月の支払いだけでも高額になってしまうのでは?」という風に考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、訪問介護を利用する場合、介護保険を利用する事でその分自己負担額を抑える事ができるようになっています。
自己負担額は、全額の1割程度が原則となっているようなので、この程度の金額なら大きな負担と感じる事はなくなるでしょう。
この訪問介護を利用すれば、自分がオムツ替えに対して抵抗感があったとしても、ホームヘルパーが自分の代わりにオムツ替えを行ってくれるので、その分自分の負担を減らす事ができます。
さらに、自分が仕事や家事で忙しい時でも、オムツ替えに悩まされる事がなくなるというメリットもあります。
平日であれば、その分仕事や家事に専念する事ができますし、休日なら家でゆっくりくつろげたり、外出して羽を伸ばせるでしょう。
このように訪問介護を利用する事で、それ以外の時間を確保しやすくなるというメリットはありますが、何もメリットばかりがあるというわけではありません。
気を付けなければいけない点として、ホームヘルパーを自宅に呼べるのは、あくまでも日中の時間帯のみが基本となっています。
つまり、ホームヘルパーが自宅に常駐して、深夜でもオムツ替えを行ってくれるというサービスにはなっていないという事です。
介護者が夜中にもオムツ替えをしてくれないと不安だと考えているようなら、その際は自分がオムツ替えをするしか方法はないでしょう。
夜はしっかり睡眠を取りたいと考えている人にとっては、訪問介護を利用するだけでは不十分だと感じてしまう事はあると思うので、その点は注意するようにしてください。
こうした事から訪問介護を利用する事で、専門のスタッフが自分の代わりにオムツ替えをしてもらう事ができるので、親のオムツ替えができないという悩みを解消できます。
しかし、自分の負担を完全に減らせるわけではないので、そこがデメリットだと言えるでしょう。
介護用の消臭スプレーを利用する
介護用の消臭スプレーを利用する事で、排泄物の臭いに対する嫌悪感を低減できるので、これがあれば、親のオムツ替えができないという悩みを解決できます。
介護者の部屋というのは、部屋中に排泄物の臭いが広がりやすいと言われています。
特に、オムツの中で便を出していて、それを長時間替えていないままだと、臭いが強くなりやすいです。
そうした今までの排泄物の臭いが溜まってしまうと、部屋に一歩入っただけでも、空気が全く違うと感じるでしょう。
そうした臭いが部屋中にこもってしまう前に、定期的に介護用の消臭スプレーを利用する事で、排泄物特有の強い臭いであっても、しっかりと抑える事が可能になります。
排泄物の臭いというのは、排泄物が飛び散った箇所を拭いただけでは綺麗に落ちない事が多く、たとえ時間を掛けて拭き取ったとしても、残ってしまう場合がほとんどのようです。
そのような場合でも、介護用の消臭スプレーがあれば、ベッドや家具などに飛び散った尿臭であっても、しっかり消す事ができるのでオススメです。
このような話を聞くと、「消臭スプレーを使うのであれば、介護用以外のものでもいいんじゃないの?」と考える人もいるでしょう。
介護用以外の消臭スプレーを使うと、部屋に溜まった臭いを十分に落とせない可能性も出てきます。
高齢者の居室には、排泄物の臭いだけなく、加齢臭や汗臭、湿布臭などの臭いも溜まりやすいと言われており、それらが混じり合った「介護空間特有の複合臭」が発生しやすいと言われています。
そうした複合臭が混じり合う事により、さらに臭いは強力になってしまうので、そのような状態になってしまうと普通の消臭スプレーで臭いを抑えるのは、かなり厳しいと言ってもいいでしょう。
介護用の消臭スプレーによっては、窓から差し込む日光によって臭いの元を分解してくれる光活性成分が配合されている商品もあるので、そういったものを選んでみるのもオススメです。
このように、介護用の消臭スプレーを利用すれば部屋の中に臭いが溜まるのを防ぐ事ができます。
ケアマネジャーに相談してみる
ケアマネジャーに相談してみる事でも、親のオムツ替えができない悩みを解消できるでしょう。
オムツ替えというのは、介護経験のない人からすると、難しいと感じやすいです。
しかし、そのような場合でも、ケアマネジャーのような介護に関する経験や知識が豊富な人からアドバイスをもらえる機会を作る事が重要です。
そうすれば、いずれ親のオムツ替えをしていて難しいと感じる事が少なくなるでしょう。
ケアマネージャーとは、介護サービスに関する計画書の作成や介護に関する相談を受け付ける、いわば介護のスペシャリストといった人を指します。
ケアマネージャーを名乗るには、介護に関する幅広い分野が出題される試験で合格をしなければならないので、何年も介護業界で研鑽を積んできた人がなっているという印象ですね。
その為、座学の知識だけではなく、介護士などの現場経験が長い人がケアマネージャーになっている事も多いので、オムツ替えに関する悩みのアプローチ方法は詳しいと言ってもいいでしょう。
私の知り合いでもケアマネジャーに長年従事している人がいますが、その人曰く、在宅介護をしている家族からの悩みや相談で特に多い項目の一つが、親のオムツ替えだという話を聞いた事があります。
超高齢社会の日本において、親のオムツ替えで悩んでいるケースというのは、なにも珍しい話ではないようです。
実際に、ケアマネジャーにアドバイスを貰えた事がきっかけで、今までよりもオムツ替えに対して難しいと感じる事が少なくなった人も多くいらっしゃいます。
一人で悩まずに困った事があったら、その道のプロに相談してみる事が、一番の近道なのかもしれません。
ケアマネージャーは、老人ホームだけでなく、自治体が設けている地域包括支援センターに在籍している事もあります。
地域包括支援センターであれば、相談だけなら無料で行ってくれますので、気軽に自分の思った事を話せるようです。
このように、ケアマネジャーに相談してみる事で、難しいと感じていた親のオムツ替えがスムーズにできるようになるでしょう。
まとめ
親のオムツ替えの負担を減らせる対策3選
- 訪問介護を利用する
- 介護用の消臭スプレーを利用する
- ケアマネジャーに相談してみる
いかがでしょうか?
親のオムツ替えができなくて悩んでいるのなら、訪問介護を利用したり、ケアマネジャーに相談してみる事が有効になってくるでしょう。
オムツ替えの際に感じる排泄物への臭いや汚いといった嫌悪感が強く、オムツ替えの事を考えただけで憂鬱な気持ちになってしまう人は珍しくありません。
また、オムツ替えを今までやった事がない人からすると、オムツ替えが上手くできず、いつも鼠径部の隙間から排泄物が漏れてしまい、オムツ替えが難しいと悩んでしまう方は多くいるようです。
私も介護士の仕事を初めて数ヶ月は、同じ悩みを抱えていたので、皆さんの気持ちは痛いほどよく分かります。
そのような場合でも、今までとやり方を変えてみるだけで、そうした嫌な気持ちも軽くなっていきます。
ぜひ、今回紹介した内容を実践してみる事で、親のオムツ替えに対する悩みや不安が解消される事でしょう。