現在都心や首都圏で生活している方には、定年後の地方移住を考えている方も多いかと思います。
首都圏で暮らすのは便利ですが、賃貸住宅なら毎月の家賃は高いですし、一軒家を買おうにも購入費も維持費もかかってしまいます。
一方で首都圏から少し離れれば地価も安く、購入もしやすい立地はたくさんあるため、都会の喧騒から離れた田舎暮らしに憧れを持つ人は多いでしょう。
しかし地方移住といっても、なんとなくのイメージやテレビで良さそうに見えたという曖昧な情報で移住するのはおすすめしません。
私の知人から聞いた話では、「テレビで良さそうに見えた」という理由で山に囲まれた田舎町に移住してきた人がいたそうです。
その方は田舎暮らしに憧れていたそうですが、スーパーは車で1時間、近くには病院もなく、仕事もなかったために半年ほどで移住をやめたそうです。
このようにしっかりと下調べなしで地方移住すると、イメージとのギャップに苦しめられてしまうこともあります。
今回はこのような失敗をしないために、移住する前に必ずやっておくべきことと、良い移住先を判断するポイントをご紹介します。
目次
地方移住の現状
移住で失敗しやすい事
移住を決めるには憧れだけでなく、現実的な視点で何を大事にするかを考える必要があります。
具体的なイメージがない状態で移住された場合、失敗してしまうことも多いからです。
実際に移住してみて失敗した方の意見も参考に、失敗しやすいポイントをまとめてみました。
- バスや電車の本数が少なく、マイカーがないと移動が大変だった
- スーパーや商業施設、娯楽が少ないので飽きてしまう
- 近くに会社がなく、仕事が少なくて収入がない
- 病院が少なく、近くにあるのは土日祝が休みの診療所のみで困った
- 地元はコミュニティができており、人間関係で打ち解けるまで大変だった
全てが当てはまるわけではないでしょうが、「地方移住で失敗した」と感じる方の多くにこのような意見が見られました。
移住先を調べる際は、先輩移住者の失敗談も参考にして移住を検討することをおすすめします。
移住で人気があるのは関東圏
都会ぐらしが嫌になった方や定年後の生活を考えて地方移住を考えている方は年々増加しています。
平均で毎年20%の増加率になっており、昨年はコロナ禍も影響してやや減少したものの、年間2万人前後が移住の相談や実際に移住を進めています。
そんな移住希望者のなかでも人気があるのはやはり関東圏です。
都会から離れすぎると不便ですが、ほどほどに都会の喧騒から離れており、街も栄えていて利便性も高いためです。
2020年の移住したい人気ランキングでは、1位静岡、2位山梨、3位長野と関東近郊がトップ3を独占しました。
(NPO法人 ふるさと回帰支援センターHPより:https://www.furusatokaiki.net/topics/ranking_2020/)
人気の理由は
- 都会から離れすぎると不便そう
- 知り合いがいるまたは地元が近い
- 行政が移住者に積極的に関わっている
- 移住者向けの地域がある
このように、田舎過ぎずかつ人が多い場所という理由があるようです。
移住者が多い自治体では、それだけ移住者への優遇も多い傾向があります。
特に人口の多い関東圏は積極的に人の受け入れをしているようです。
移住先はイメージをすり合わせて
移住というのは簡単に決められるものではありませんよね。
特に家族がいる方の場合は、1人の意見で移住を決定するわけにはいきません。
移住前に家族で移住後のイメージをすり合わせておく必要があります。
- 海や山のどちらが良いか
- 過ごしやすい気候か
- 地域の経済規模はどうか
- 買い物に便利かどうか
このように生活するうえで、それぞれが重視したい部分をあらかじめ出し合って相談しておけば、移住先も決めやすく、移住後のイメージとの違いに苦しむことも少なくなるでしょう。
移住後の家族間トラブルを予防するためにも、移住前に必ずイメージのすり合わせは行いましょう。
田舎暮らしに失敗しないためには
都会生活に疲れた方の中には「田舎暮らしって助け合って過ごしているから、ストレス少なそう」と憧れる方もいるでしょう。
私自身も経験していますが、慣れない田舎生活は想像しているよりも大変です。
テレビ番組や特集で見えるのは、田舎の良い部分を濃縮して美化しているので、実際に住んでいくには相当の覚悟が必要です。
田舎暮らしに憧れて移住してきた人が田舎が暮しを辞める理由をあげていくと
- バスが1時間に1本、ひどいと1日1~2本しか来ない
- 買い物や病院に行くためにマイカーで1時間以上運転する
- 田舎では移住者はよそ者扱いされ、受け入れてもらえない
- 専門性を生かせる仕事がなく、介護施設などの仕事ばかりが多い
理由の一部ですが、このようにいざ田舎暮らしを始めると想像と全く違った現実に直面します。
元々の地元に帰るなら少しマシでしょうが、見知らぬ土地に移住するなら注意すべきポイントがあります。
具体的にあげるなら
- 人が多い街に近い場所を選ぶ
- 移動手段が少ない場合は、マイカーを利用する
- 買い物、病院など生活に重要な施設に近い場所を選ぶ
- 仕事の募集があるか確認する
このようなポイントを確認した上での移住なら、たとえ田舎であっても不便さを感じることは少ないでしょう。
この条件を満たすことを考えた場合でも、ある程度都市化した地域の方が生活しやすいのは間違いないです。
地方移住失敗しないためのポイント
良い移住地は行政の積極性で判断する
移住地を探す上でどこを重要視するかは大事です。
移住はただ引っ越すだけでなく、実際にそこで生活を続けることになるので行政サービスが充実している方が良いのは間違いありません。
今では多くの地方都市で移住者を積極的に受け入れていますが、中でも行政のサポートがどの程度あるのかは調べておいたほうが良いでしょう。
- 移住希望者への無料相談が行われているか
- 行政のホームページの更新は頻繁か
- 移住者向けにイベントが行われているか
- 地域での受け入れ体制は
このくらいのポイントは調べておく必要があります。
移住希望者の受け入れに積極的な自治体は無料相談が頻繁に開かれますし、ホームページでもその告知や情報の更新がされています。
さらに移住後に移住者同士で交流を持つイベントや移住者向けの地域を作っている自治体もあるのです。
このような行政のサポートは暮らしやすさに直結するので、移住を決める際のポイントにしましょう。
先輩移住者の意見を聴く
行政が移住者受け入れに積極的な場合、既に先輩移住者が生活していることも多いです。
そのような自治体では無料相談の他にも、先輩移住者から実際に移住してからの生活を直接聴くこともできます。
無料相談はあくまで自治体職員が主体なので話しにくい内容でも、先輩移住者なら話しやすいでしょう。
実際に暮らしている人の声が聴けることは、移住先を選ぶ上で重要なポイントになりますよ。
不動産の手入れと民間サポートがしっかりしているか
自治体によっては空家や賃貸物件をホームページに載せていることもありますが、重要なのはその管理が行われているかという点です。
自治体が不動産会社に委託して適切に管理されているなら、移住してからの生活もスムーズですし、管理している会社に家のメンテナンスを依頼することもできます。
また不動産を購入後のサポートがあるか、家や庭を管理してくれる民間の会社があるかないかは移住後の住環境に大きく関係してきます。
自治体のサポートが行き届いておらず、「家を買ったら後はご自由に」という状態では移住者にとって不都合です。
自治体と民間が連携して住まいの購入から住環境の整備までサポートしてくれると、移住先を探す上で大きく労力を減らすことができるはずです。
地方移住を具体的にイメージするために
ショートステイを利用して暮らしてみる
移住先の候補を絞ったら、次の段階として実際に短期間の体験をしてみることをおすすめします。
情報を手に入れるのはインターネットや無料相談でも可能ですが、実際に住んでみて「自分にとって住みやすいか」が最も重要なことです。
1週間か、可能なら2週間程度ショートステイという形で入居してみて、生活のしやすさを確認してみましょう。
夫婦だけの視点ではなく、子どもがいるご家庭なら子どもにとって過ごしやすいか、学校の教育レベルも重要になってくるので、多角的な視点で捉えましょう。
あまり短期間の入所ではメリット、デメリットが見えにくいので、1週間以上入所して確かめるのがおすすめです。
いくつかショートステイしてみて、家族でどこが良かったか相談して移住先を決めましょう。
暮らしやすさは利便性や経済規模で判断
暮らしやすさはそのまま定住しやすさにつながります。
移住するなら誰もが便利な場所を選びたいはずです。
移住先を決める時のポイントとして考えてほしいポイントは
- 田舎を選ぶのであれば、移住者の多い地域かどうか
- 別荘の多い地域ではないか
- 地域の経済規模(病院、買い物、仕事)が大きいか
- 交通網の利便性は高いか
- 移住者を受け入れる風土ができているか
このようになっています。
田舎を選ぶにしても、地域住民以外にも移住者が多ければ新たに移住しても孤立する可能性は少ないでしょう。
また別荘の多い地域は夏場だけ人が多いなど、一時的な人口増加は見られても自治体としての活気は少ないこともあるので注意です。
経済規模や交通の利便性はそのまま暮らしやすさに直結する部分なので、重要ポイントといえます。
ショートステイでこの点に不便を感じたなら、あまりおすすめはできません。
最後に移住者を受け入れてくれる風土のある地域かどうか。
地方都市では古くからのお祭りや伝統行事を守り続けている地域も多くあるので、そういったイベントに参加できるかどうかは地域に馴染めるかどうかの大事な要素です。
受け入れる風土がない地域は移住先としては大きく減点です。
移住を家族で相談する際はこのようなポイントを考えて、決定しましょう。
移住してからの生活を考える
最後にとても重要なポイントです。
移住してから10年20年後の生活をどうしたいか考えることです。
10年20年同じ地域で住み続けるなら、生活をどのように変えていきたいかという未来を考えることも失敗しないポイントです。
たとえば
- 10年後には家庭菜園を大きくして野菜を売り出したい
- 10年後にはここを拠点に会社を設立したい
- 20年後には子ども達が帰って来れるようにもう1軒家を建てたい
など思い描く未来があるはずです。
そんな10年後20年後の未来も考えた移住先選びをしましょう。
移住は今だけのことではなく、将来設計まで含めて考えることが大事ですよ。
まとめ
地方移住をするにはそれぞれの家族によって重視するポイントは変わりますが、共通するのは暮らしやすさを大事にすることです。
事前の調査で行政のサポートや移住者の実際の声を確かめ、ショートステイで暮らして確かめてみることで具体的な生活がイメージできることでしょう。
暮らしやすさは定住につながるので、家族で必ず移住先のどこが良くてどこが悪かったかをよく相談して決めてくださいね。
そして将来設計まで考えた移住をすることをおすすめします。
この記事を読んだ方が、幸せな移住先を見つけて素敵な人生を送れることを応援しています。