あなたは今住んでいる地域から親が一人離れて暮らしていて、心配になった時どうしていますか?
電話をしたり、正月・GW・お正月に帰省して元気な顔を見に行くという方も多いことでしょう。
そして会った時に、親の様子を見てこんな風に心配になることがあるはずです。
- 最近元気がなくなってきている
- 以前は健康だったのに風邪をひきやすくなった
- 活動的な人だったのに表に出るのを億劫がっている
- 知り合いが少なくて人との会話もあまりない
このように高齢な親が一人暮らしをしていると、離れて暮らしている子どもにとっての心配はつきません。
「親の一人暮らしを支えられて、家族も安心できる方法があれば知りたい!」とそうお考えの方もいるはずです。
本記事ではそういった親の一人暮らしを心配する方向けに、今の高齢者一人暮らしの実態と一人暮らしを支えるサポート、おすすめの介護施設について紹介します。
目次
親の一人暮らし高齢者の現状
一人暮らし世帯の増加
初めに高齢者の一人暮らしが全国でどのくらいいるかご存知でしょうか?
内閣府の調査によると2015年の時点で男女合わせて約592万人で、今でも毎年増加しているのです。
日本の総人口から考えると20人に1人は一人暮らしの高齢者になります。
子どもと同居している高齢者の世帯は39%、残りの60%以上は高齢者のみの世帯ということになります。
家が5件あれば3件は高齢者だけということなので高齢者の世帯がいかに多く、身近な問題かなんとなく理解出来るでしょう。
そして高齢者の一人暮らしでは、身体的・機能的な衰えによって様々な問題が起こりやすくなるのです。
一人暮らしの親に起こりやすい問題
子どもであるあなたが親の一人暮らしを心配する心情はよく理解できます。
私の知人はある日、親の家に帰省したところ家中細かいゴミが散らかっていて、親の体には小さな傷がいくつもある状態だったそうです。
加齢とともに無気力になり、部屋の掃除をしなくなり、外に出なくなったために足腰が弱って何度も倒れていたのです。
高齢者の一人暮らしにはこのように、子どもが知らないうちに大きく状況が変化している場合が時々あります。
高齢者の一人暮らしで起こりやすいトラブルの例は、
- 家で倒れていたが誰にも気付かれなかった
- 耳の聞こえが悪く、コンロの火をつけっぱなしにしていた
- 生活が不摂生になり習慣病になった
- 詐欺や散財でお金を失った
- 認知症が進行してご近所トラブルを起こした
自分の親がこんなトラブルに巻き込まれるなんて考えたくはないでしょうが、実際に起こってしまっているのが現実です。
「では子どもとの同居をすれば問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、子どもの側にも同居ができない事情を抱えている場合があります。
親が心配でも子どもが同居できない理由
子どもの世帯で同居すれば解決できる問題もあるのは確かですが、子どもとの同居に問題がないわけではありません。
子どもにもその家での暮らしがあり、親と暮らすことで生活習慣の違いが摩擦になることもあります。
私の知人にも一度は同居したものの、生活リズムが合わず、かえって家族中が悪くなったために離れて暮らす形に戻した人がいます。
他にも義理の両親の介護もしていて、自分の親であっても負担が増えるために受け入れられない場合もあるのです。
親の一人暮らしという問題はこのように家族全員にとって扱いが難しい問題であり、各家庭によって状況が異なるため絶対の正解がないのが現実です。
一人暮らしの親に家族が出来ることは
親を遠距離で介護する上でのメリット・デメリット
介護される側の親が生活を変えられない場合、子どもは遠距離介護という手段があります。
毎日ではないにせよ、週に数回は親の様子を見に行って介護するというものです。
これなら介護する子どもにも介護される親にも同居が不要で、お互いの生活リズムに干渉しない方法になります。
ただし遠距離介護にはその形態上メリットもありますが、デメリットもあります。
遠距離介護のメリット
- 親が住み慣れた環境で生活できる
- 親にとって慣れた人間関係を維持できる
- 介護者の身体的負担が軽減できる
- 介護保険サービスを利用しやすくなる
まず親にとって自宅という一番慣れた環境での生活を維持できるため、本人のストレスが少ないということです。
次にこれまで培ってきた人間関係があるため、それを維持したままで生活できるという点も介護され側にとっては非常に大きいのです。
高齢者はストレスがかかると、認知症を進行させてしまう可能性が高いので、慣れた環境と人間関係というのは重要になります。
そして子どもにとってのメリットは、毎日介護に追われるわけではないため、身体的な負担が少なく予定も立てやすくなります。
さらに子どもが遠方に住んでいる独居高齢者の場合、待機者の多い「特別養護老人ホーム」での優先順位が高くなるのです。
事前に要介護認定を受けておく必要はありますが、入居までホームヘルパーを利用して生活してもらうという方法もあります。
遠距離介護のデメリット
- 緊急事態が起こった場合、対応できない
- 交通費などで費用がかかる
遠距離では親の身に何か起こったとしても、すぐに対応できないという場合も起こりえます。
私の知っている話では、独居の高齢者の家を近所の人が訪問した際、玄関で倒れた状態で発見されたということも時々耳にします。
このように体調の急変があった場合、すぐに対応することが難しいでしょう。
最大のデメリットは交通費が高くなってしまうことです。
車で通うのが難しい距離の場合は特に交通費がかかってしまいますし、もしホームヘルパーなどの訪問介護サービスを利用するにしても無料ではないため費用の負担は発生します。
メリットとデメリットのバランスをとって、遠距離介護は選択することをおすすめします。
親が一人暮らしを希望している時に家族に出来ること
子どもが心配だからと同居を勧めても、親のほうが一人暮らしにこだわる場合もあります。
先述のとおり、住み慣れた環境、人間関係、そして本人の「自分でできる」というプライドもあるため一人暮らしを選択する場合もあるのです。
この場合、家族に出来ることは何があるのでしょうか?
- 地域包括支援センターへと相談する
- ホームヘルパーによる定期的な自宅訪問を活用する
- ホームセキュリティサービスを利用する
地域包括支援センターへと相談する
各市区町村に設置されている地域包括支援センターにあらかじめ相談してみましょう。
要介護認定を受けていなくても、相談は無料でできるので親の住んでいる地域の包括支援センターへの相談をおすすめします。
事前に情報を共有しておけば、いざ要介護認定を受けたとしても、サービス導入までの流れがスムーズになりやすいので、不安な時は地域包括支援センターへ相談しましょう。
ホームヘルパーによる定期的な自宅訪問を活用する
民間の介護サービスになりますが、毎週決まった曜日と時間に自宅へ訪問し、掃除や料理、買い物などもしてくれるホームヘルパーを利用しましょう。
費用こそかかりますが、介護の専門資格を持ったヘルパーが担当してくれるので、安心して任せることができます。
もしも変化や普段と様子に違いがあれば、事業所から家族へ連絡が入り、病院受診も勧めてくれるので不測の事態への対応もしやすくなりますよ。
ホームセキュリティサービスを利用する
いわゆる警備会社が提供しているホームセキュリティサービスのことです。
昨今の高齢化と独居高齢者の増加に伴い、自宅を定期的に訪問する安否確認サービスや体調確認をしてくれます。
またオプションで自宅内にカメラを設置して、スマートホンやパソコンでその映像をリアルタイムで観られるサービスも導入しています。
「まだまだ親は元気だけど何かあったら心配」という方は利用してみましょう。
親が近居を選択した時家族に出来ること
家族の方が「同居は難しいものの、親には近場で暮らしてもらいたい」とお考えの場合は、近居という選択肢もあります。
民間の介護施設の中には、介護度が低い段階から受け入れてくれる施設もあるのです。
基本は自立して生活している方向けですが、子どもが忙しくても安否確認や介護などの面倒を見てくれる施設を選択することもできます。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 有料老人ホーム(健康型・住宅型・介護付き)
- 軽費老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
民間事業者が運営する施設で、介護施設の括りに入っていますが「介護の必要がない、自立した高齢者向けの施設」になります。
一般的な介護施設と異なり、入浴や排泄、食事介助などの介護を行うことはなく、安否確認と生活相談を主な内容にしています。
入居する個室はそれぞれ法律で基準が定められており、生活するのに必要な設備は揃っており、かつバリアフリー化もされているので安心です。
施設によって安否確認と生活相談以外にも生活介助を行ってくれる施設もあるので、施設確認が重要になります。
医師や看護師、介護福祉士など専門スタッフが常駐しているため、親にも子どもにも安心できる施設になります。
有料老人ホーム(健康型・住宅型・介護付き)
健康型は自立した高齢者向けの施設で、家事手伝いや食事の提供などのサービスを行っています。
自立していることが条件になるため、要介護認定を受けると退去になります。
住宅型は食事、洗濯などの生活支援を行ってくれる施設です。
施設スタッフが介護を行うことはないため、生活する場所を提供しているイメージです。
介護が必要になった場合は、施設に入居したまま訪問介護などの在宅サービスと契約して生活を続けられます。
介護付きは食事、洗濯などの生活支援に加え、生活介助、リハビリ、レクリエーションなどのサービスも受けられる施設です。
施設職員が介護を行う「一般型」と、介護は外部の事業者と契約する「外部サービス利用型」に分けられています。
親の一人暮らしが心配なら、なるべく近い距離に上記の施設があれば利用を検討してみましょう。
介護される親の意思にもよりますが、自立して生活が可能であるため通常の介護施設入居に比べて、本人の心理的な抵抗感も少ないはずです。
子どもも親も不安が少ない、理想的な暮らし方を探すのが介護においては重要になりますよ。
まとめ
今回は高齢な親が一人暮らしをしている時、子どもにできることを紹介しました。
高齢者が毎年増加していく中で、民間の事業者が暮らしのサポートする事業を次々に展開しています。
選べる選択肢はたくさんあるものの、それを知っているか否かで家族にできることも大きく変わってきます。
ご家庭毎に事情は違えど、親を心配する子どもの気持ちに違いはないはずなので、まずは家族で話し合ってお互いに心配事を知ってみましょう。
まずお互いの考えを知ることから介護は始まりますから、家族みんなに負担の小さい方法を相談してくださいね。